Mini (ミニ)

40年の長きに渡って英国自動車業界を流浪した愛すべき小さい車 「ミニ」というのは元来、車名でした。それじゃぁ「何処のメーカー？」と聞かれて、これほど返答に困る車はありません。 ミニと云う車を理解するのには、まずはミニの誕生した経緯と背景を理解しなければなりません。トミカで外国車シリーズとして発売された「BLMC ミニ クーパーS マーク�V」は、そういう意味では「ミニ」の様々な要因を含んでいる商品名だと思います。まずは「BLMC」って何？からスタートです。しかし、かなり割愛しています。 「ブリティッシュ・モーター・コーポレーション (BMC)」は1952年、イギリスの大手2大自動車製造会社 「Austin Motors(オースティン・モータース)」と「Nuffiled Organization(ナッフィールド・オーガナイゼイション)グループ」が合併して誕生。前者の 「Austin(オースティン)」ブランド、後者の 「Morris(モーリス)」、「MG」、「Wolseley(ウーズレー)」、「Riley(ライレー)」のブランドを有する英国最大の自動車メーカーとなります。 1966年 「ジャガー」及び「ディムラー」のブランドを持つ「ジャガー」を吸収し「ブリティッシュ・モーター・ホールディングス (BMH)」が発足。 1968年 「レイランドグループ」と「ローバーグループ」を合併して「ブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーション (BLMC)」 となります。 そもそもミニはBMC時代の1950年後半にアレック・イシゴニスにより設計、開発されます。そして1959年に発売された最初のモデル(MkI)は「オースチン・セブン」及び「モーリス・ミニ・マイナー」の名でイギリス国内向けに発売されました。北米とフランスでは「オースチン850」「モーリス850」の名前で発売。 イシゴニスの友人で「クーパー・カー・カンパニー」の経営者ジョン・クーパーが技術提供をした「オースチン・ミニ・クーパー」と「モーリス・ミニ・クーパー」が1962年に登場。1963年にはよりパワフルな「クーパーS」が発売。 初代がマークI、トミカとなったのが「マーク�V」、最終的にはマーク10と呼ばれるモデルまで続きますが、各モデルの詳細はこれも割愛。 そしてBLMCのその後…。 1975年 「BLMC」が破産寸前になり 国有化へ。社名は「ブリティッシュ・レイランド(British Leyland)」となる。 1978年 名称を「BL Cars LTD.(ビーエル・カーズ　通称BL)」に変更。 1982年 ミニを含む大量生産乗用車部門は「Austin Rover Group (ARG - オースチン・ローバー・グループ)」として分割し発足。これ以降、ミニは生産終了するまで一般的には「ローバーミニ」と呼ばれることになります。 1986年 社名を「ROVER GROUP PLC(ローバー公社)」とする。 1988年 「ローバー・グループ」は航空機メーカー「ブリティッシュ・エアロスペース」に買収。 1994年 「BMW」が「ローバー・グループ」を買収。 2000年 「BMW」は「ローバー・グループ」を分割。「ローバーグループ」は事実上消滅し、40年以上に渡って世界中に愛されたミニが生産終了。 生産終了の原因は各国の排ガス規制や安全基準が理由のようです。今尚、世界中にニーズはあるはずですが、作りたくても、もう作れない。売りたいけど規制が厳しくて販売の許可が降りない、という感じでしょうか。時代が「ミニ」を追いやってしまったんですね。2001年にBMWから新型のミニが登場しますが、イシゴニスの設計したモデルではないミニなんて…。 「モーリス」「オースチン」「BMC」「BMH」「BLMC」「レイランド」「BL」「ローバー」「BMW」…40年間に渡った資本、製造・販売メーカーについての流浪の旅の末に、いつしか「ミニ」は車名ではなくブランド名になってしまったのも、ミニらしいと言えばミニらしい。