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三菱ふそうトラック・バス株式会社 | |
三菱自動車の沿革は難しいですよ〜！まずは「三菱(財閥)」の歴史とあわせて理解しなければなりません。三菱の歴史は近代日本史そのものでもあるのです。歴史の教科書を読むつもりでチャレンジしてみてください(笑)。 三菱の歴史は幕末からです…。 幕末に資金難に陥った土佐藩(原因は軍艦の購入、坂本竜馬の友人でもある後藤象二郎への長崎における対外国への面目をかけた過度の資金援助)の財政改革に抜擢されたのが三菱の創業者・岩崎彌太郎(いわさきやたろう)です。岩崎は強力な指導力を発揮して藩の工場や商業組織を立て直す一方、私有化してその本店を大阪に置きます。もとの「大阪土佐商会」を明治3年(1870年)｢九十九商会(つくもしょうかい)｣という海運業の私商社に改組、改称。その後(その後って、文明開化の頃です)岩崎は、社名を土地にちなんだ「三川(みつかわ)商会」とし、1873年「三菱商会」と改称(この「三菱」は岩崎家の家紋の「三階菱」と土佐藩主の山内家の家紋「三つ柏」が由来とされています)。その後「三菱蒸汽船会社」「郵便汽船三菱会社」と改名を重ねながら事業を拡大していき、三菱財閥の基礎を築きあげます。 1916年の第一次大戦中、岩崎小彌太が第四代社長に就任。在任の30年間に三菱は傘下事業70数社の大企業集団へと成長を遂げます。そして、後の三菱自動車の母体となる「三菱造船」は1917年に「三菱合資会社」から独立。 1918年、三菱造船神戸造船所において1台の乗用車が完成します。「三菱A型」。記念すべき三菱の自動車1号車です。しかし、この後、三菱はいったん自動車から手を引きます。 1923年9月1日の関東大震災を契機にトラック・バス輸送の重要性が大きく認識され、また、鉄道省(後の国鉄・現ＪＲ)が推進した国産車の育成政策を背景に、トラック・バスの開発が迫られます。 1932年5月、三菱造船神戸造船所で100馬力のガソリンエンジンをのせたB46型乗合乗用車(バス)が誕生。三菱ふそう1号車になります。そして1934年2月、B46型バス4台とバストラクタ(バスに貨物トレーラを牽引したようなもの)BT38型3台が鉄道省の省営バスとして初めて採用されました。この納入の際、愛称を所内募集して、当選したのが「ふそう」という呼称でした。「ふそう(扶桑)」は「東海日出る国に生じる神木」を指し、日本の異称としても使われていました。実在の扶桑の木は、一般にはハイビスカスの名で知られています。ちなみに「ふそう」の愛称募集の賞金は3円。米10kg1円72銭の時代でした。 そして、この後「ふそう」の名称は、三菱のバス・トラック全体の愛称となり、公称となるのです。 1934年、満州国(現・中国東北省)が建国されると、輸送手段はますます需要を増し、こうした背景から「三菱造船」は、船舶のほかに重機、航空機、鉄道車両を加え、社名を「三菱重工業株式会社」と改称。三菱自動車は「三菱重工業株式会社」の鉄道車両部門の一つに属しました。 こうして戦前、戦中、小彌太の指揮のもと成長してきた三菱も、終戦とともに大きな転機を迎えることになります。 1945年8月に終戦。廃虚と化した都市を復興するためには交通、運輸の再生が先決と判断したGHQ(連合国総司令部)は、終戦後わずか1ケ月余の9月25日に民需用トラック・バスへの生産を許可し、その指令にいち早く応えたのが三菱でした。 戦後の「ふそうトラック」第1号は、1946年7月に京都機器製作所で生産されたKT1型4ｔ車。KT1型は戦前、試作のままに終わっていたYB40型トラックを参考にシャーシ、ボディーが設計され、ガソリンエンジンGB38型が搭載されました。 しかし、GHQの要望により財閥は自発的解体を迫られ、三菱財閥も解体。1946年9月、四代70有余年にわたる岩崎家による三菱の事業に終止符が打たれました。三菱商事の約4,000名の社員は、百数十の会社に分散。「三菱重工業」は「東日本重工業」「中日本重工業」「西日本重工業」の3社に分割されました。 1951年、財閥解体後、生まれ変わった「東日本重工業」から生産された第1号車は、8ｔ積みT31型ボンネットトラック。 GHQの統治政策も変わり、1952年、サンフランシスコ講和条約の発効によって日本は国際社会に復帰。1954年「三菱商事」の大合同。そして1964年に「三菱重工業」が合併。 そして戦後復興をなしとげ、高度経済成長を支える日本の交通網の発達にともない、自動車輸送は目覚しく発達して行くのです。 1970年「三菱自動車工業株式会社」が「三菱重工業」の自動車事業部門から分離、独立し、発足。 2003年「三菱自動車工業株式会社」からトラック・バス事業を分社化し「三菱ふそうトラック・バス株式会社」が発足。 トラック・バス事業を分社化するにあたって「三菱自動車工業株式会社」から『今後は乗用車事業に集中する』とのコメントがありましたが、トラック・バスを基幹事業としてきた長い歴史をみると「三菱自動車工業株式会社」を「三菱ふそうトラック・バス株式会社」に改名、そして、乗用車事業を「三菱自動車工業株式会社」という名称を引き継いで独立させる…というのが正しいのでは？？ 幕末、山内家、坂本竜馬、第一次大戦、関東大震災、満州国、第二次世界大戦、GHQ、戦後復興、サンフランシコ講和条約、高度成長…と深く関わった三菱ふそうの長い長い歴史でした。
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